今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」120話を読んだので紹介します。

この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 120話 あらすじ
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一方、現在「お職」の座についている千代春が身請けされるため、二枚目から出世することが決まった美蝶は、将来に対する漠然とした不安を抱えていました。
そして、そんな折に偶然栄太と出くわした美蝶は、思わず彼に向かって胸の内を吐露してしまったのでした。
声なきものの唄 119話 ネタバレ
嫌がらせへの対策が功を奏し、胸をなで下ろした矢先に、後藤田が矢津の地を去るというショッキングなニュースを公三郎から教えられたチヌは、思わず涙をこぼしてしまいます。
そんな妻の姿を見て、彼女にとって後藤田の存在が決して小さなものではなかったことを改めて感じた公三郎は、少々複雑な思いを抱えつつも、彼を晩餐に招待することにしました。
そうして後日、若水邸へとやって来た後藤田は、なんといつもの和装ではなく洋装でした。しかもウィングカラーのシャツに白の蝶ネクタイとベスト、そして身体にぴったり合ったテールコートというフォーマルなスタイルは、風格がある後藤田の雰囲気に非常に良く似合っており、
「見とれて声も出ねえか若水夫人!」
という彼のからかいの言葉にチヌが思わず頬を染めてしまったのも納得の男振りです。
後藤田が洋服を着始めたのは、矢津を離れるという彼の決断と関係がありました。
実はこれまで矢津に立ち寄る航路を使っていた大阪の大手海運会社がルートを変えるつもりだという情報をつかんだ後藤田は、水深の問題で大型船が利用しにくく鉄道の駅からも遠い矢津に未来はないと判断し、業務拡大のためにももともと支店のあった神戸へ拠点を移すことにしました。
そして、国内でいち早く欧米文化を取り入れ、日本の近代洋服発祥の地と呼ばれるほど先進的な街である神戸では、旧弊とみなされる恐れのある和服は同業者に侮られるかもしれないと考えて、西洋風の服装をすることを決めたのです。
後藤田の話を聞いたチヌは、いっときは公三郎より魅かれたこともある彼との別れに寂しさを覚えずにはいられず、静かに涙を流しました。
一方公三郎は、これまで経済活動を支えてきた基盤が揺らぐ矢津は将来的に先細りしていくしかないという後藤田からの忠告に、危機感を覚えます。
後藤田の旅立ちを見送った後、公三郎はチヌにも「矢津は終わりや」という彼の言葉を伝えました。
たしかにチヌも催し物がある時以外の客足が鈍くなっていると感じることはありました。しかしそれは戦争後の不景気が原因だとばかり思っていたため、彼女の心にもまた一抹の不安が過ぎります。
しかもその後、まるで矢津の明るくない先行きを暗示するかのように、東陽楼の妓たちから「桜茶屋」のために作るおそろいのお仕着せの費用を安く抑えてほしいという要望が寄せられたり、突然新之介の友達である達吉の母親が訪ねてきて、まだ幼い娘・おツルを東陽楼で働かせてほしいと深刻な顔で頼んできたりといった出来事が立て続けに起こったのでした。
声なきものの唄 120話 感想・考察
120話の見どころは、初登場時からずっと着物姿だった後藤田が、燕尾服を着て登場するシーンです。
貴公子然とした公三郎が洋装でピシッとキメているシーンはこれまで何度もありましたが、精悍な顔つきで野性味あふれるタイプの後藤田にも華やかな正装は思いのほか似合っていて、貫禄と色気がただよう彼の姿に思わず惚れ惚れしてしまうこと間違いナシです。

スマートでキラキラした美丈夫の公三郎より、剛毅・豪快でワイルドな男前の後藤田が好みな読者には必見の回となっています。
安武わたる先生、いつも素敵なお話をありがとうございます。
次回ネタバレはこちら
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