今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」118話を読んだので紹介します。

この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
↓↓↓
声なきものの唄 118話 あらすじ
前話ネタバレはこちら
↓↓↓

そしてその場で楼主たちから陰湿な嫌がらせを受けてしまいますが、チヌは自分よりずいぶん年嵩の男性4人相手でも萎縮したりせず、自身の考えをしっかりと述べます。
さらに、彼らの言動を逆手に取って、今後も東陽楼は従来の儲けを第一に追求する商売はしないことをさも認められたかのように振る舞い、楼主たちを唖然とさせたのでした。
声なきものの唄 118話 ネタバレ
「紋日」を廃止したり「外借金」を減らすための方策をとったことにより、ある日チヌは「矢津の五大奉行」と呼ばれている見世の楼主たちから「呼び出し」を受けてしまいます。
「矢津の五大奉行」とは矢津遊廓全体を取り締まっている見世のことを指し、東陽楼はその筆頭です。そのため五大奉行の会合は東陽楼で開かれると決まっており、東陽楼の楼主であるチヌが「呼び出し」を受けるという事態は、本来ならば無礼だと断じて良いものでした。
しかしチヌは、自身が新米楼主ゆえにこれは仕方ないことだとして、この「呼び出し」に粛々と応じます。しかも、これ以上侮られてはいけないという理由で、番頭の八木が同行を申し出てきたのを断り、たった1人で五大奉行の1つである万勝亭へと向かったのです。
そこでチヌを待ち受けていたのは、東陽楼を除く五大奉行・・・万勝亭、玉川楼、青柳屋、海鳴館の楼主を務めている4人の男性でした。
彼らは節分で使う鬼の面をかぶって出迎えることでチヌを驚かせて笑い者にしたり、チヌ1人をのけ者にして話し込んだり、かと思えば一斉にチヌが行った改革に対するイヤミをチクチクと口にしたりして、彼女を精神的に追い詰めようとしました。
しかしそんな意地の悪いことをされてもチヌはニコニコとした笑みを崩さず、あえて間延びしたような口調で楼主たちの意見に堂々と反論してみせたのです。
無論、これまでずっと伝統的なやり方で商売を続けてきたのであろう楼主たちが、チヌの
「ちっとばかし儲けが減ったとて、皆で少しでん”キモチええ“やり方したほうが、”お得“とちゃいますか」
という主張を素直に受け入れる・・・などという奇跡は起きませんでした。
そのかわり、チヌは彼らの
「そりゃあんたが若水のヨメやけんゆえるこっちゃ!!」
という文句を上手く利用し、「大地主の女房」という己の立場を前面に押し出して、これからも経営方針を変えるつもりはないことを強引に宣言すると、さっさとその場を立ち去ったのです。
残された4人の楼主たちは、予想外にしたたかだったチヌにみごとに揚げ足を取られたことにより、しばし呆然としてしまいました。
罰金や「持ち込み行商」に関するチヌの行動はまさに「掟破り」で、彼らにとっては迷惑なものでしかありません。しかもチヌが若水地所の社長夫人であるがゆえに、楼主たちは彼女に対して強く抗議することもできないのです。
困り果てた彼らがたどり着いた結論は、チヌが廓経営から手を引くように「裏から」手を回すという、なんとも不穏なものでした。
声なきものの唄 118話 感想・考察
118話の見どころは、チヌが4対1という多勢に無勢な状況にもかかわらず、堂々たる態度で他の見世の楼主たちと相対したうえに、彼らから受けた意地悪な仕打ちに動じることなく、とぼけたような態度で賢く立ち回ってみせたシーンです。楼主という責任ある立場となったチヌの覚悟の強さや、母親や社長夫人としてこれまでチヌが身に着けてきた諸々が伝わってきて、とても感心させられました。

しかし一件落着とはいかず、楼主たちの謀によりチヌに魔の手が伸びそうで、心配です。
安武わたる先生、いつも素敵なお話をありがとうございます。
次回ネタバレはこちら
↓↓↓


コメント