今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」109話を読んだので紹介します。

この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 109話 あらすじ
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そのうえ野犬の群れに出会ってしまうという災難にも見舞われますが、明子に危機が迫ったその時、何処からともなく徳次が現れ、彼女を守ってくれたのです。
その後帰宅した2人は、お互いに胸の内を明かしました。おかげで明子は徳次が自分と久米親分の仲を勘違いしていたことを、徳次は明子に必要とされていることを知り、徳次が帰還して以来抱えていた蟠りがめでたく解けたのでした。
声なきものの唄 109話 ネタバレ
料亭での仕事を終えて帰宅した明子を待っていたのは、
「徳次さんの姿が見えん」
と血相を変えて狼狽えている母親でした。
「家を出たとしか思えん」
と続けた母へ、明子はすぐさま女中のツタを起こして警察へ行くよう指示してほしいと頼みました。そうして自身は1人で徳次を探しに出かけたのですが、父親のいる六甲へ向かうつもりなのではないかと考えて停車場まで走ったものの、彼の姿はありませんでした。
実は明子の予想は当たっており、徳次は確かに六甲へ行くため停車場を目指していました。しかし両目が見えない状態で外を歩くのはやはり困難であったうえ、途中で出会ったタチの悪い酔っぱらい達にお金を取られてしまっていたのです。
なかなか徳次を見つけることができないせいで、明子の脳裏に一瞬、彼が自ら命を絶つ選択をした可能性がよぎります。その直後に偶然知り合いの芸者と出くわし、彼女から徳次の目撃情報を得た明子は、慌ててその芸者がさきほど徳次を見かけたという場所へと向かいました。
ところが運の悪いことに、明子はその途中でなんと野犬の群れに遭遇してしまいます。どうにか3匹もの野犬から逃れようと試みた明子でしたが、飢えて気が立っていたのか野犬たちは彼女に襲いかかってきました。
あわやというところで明子をピンチから救ってくれたのは、驚いたことに徳次でした。彼は鳴き声を頼りに杖を振り回して果敢に野犬たちへと立ち向かい、さらには文字通り身を挺して明子をそのツメやキバから庇ってくれたのです。
そこへさらに駆けつけたのは、久米親分や彼の部下たちを引き連れたチヌでした。
ツタは言われた通りにきちんと派出所へ行ったのですが、タイミング悪く警官が出払っていたため、ともかく人手が必要だと判断した明子の母がチヌに助けを求めていたのです。そしてチヌはすばやく久米親分に協力を仰ぎ、黒川組の面々と共に徳次を捜索していたのでした。
早い段階でチヌたちが2人を発見できたおかげで、徳次は傷はたくさん負ったものの大事には至らず、彼が守った明子にはケガ1つなかったようです。しかしそれでも徳次は自分が明子の足手まといになっていると自嘲し、彼女が久米親分と結ばれるために姿を消そうとしたことを明かしました。
思わぬ告白に明子は思わず徳次の頬を張り、それはカンチガイだと激昂しました。それから徳次が生きてさえいれば自分は悲しまずに済むし、それは徳次にしかできないことだと彼に伝えます。
それを聞いた徳次は突如悔しげに
「あああっ、つれえっ、つれえなぁっ」
と声を上げ、次いで
「おめえの顔がもう二度と見られんのが、何よりつれえ」
と言って涙しました。
そんな夫の言葉に明子は泣きながらも微笑んで、
「そりゃ・・・安心やわ。うちがどないにしわくちゃのバアさんになっても、あんたは、一等キレエな頃のうちだけ覚えとってくれんのやろ?」
と答えたのでした。
声なきものの唄 109話 感想・考察
109話の見どころは、明子と徳次が気持ちを通じ合わせるシーンです。久米親分へ心を寄せていると誤解されていたことを知った明子が徳次に対して迷わず怒りを見せるシーンや、その後、顔を見ることができないのが辛いと徳次に言われた明子が微笑みながら涙を流すシーンは非常に感動的で、必見です。

そして次話は美蝶と栄太の話になるようです。東陽楼の二枚目と一介の会社員という関係になった2人がどんなやりとりを繰り広げるのか、続きがとても楽しみです。安武わたる先生、いつも素敵なお話をありがとうございます。

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