今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」103話を読んだので紹介します。
この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 103話 あらすじ
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優しい父と美しい母の間に生まれ、3人仲良く暮らしていましたが、ある時母親が夫以外の男性と肉体関係を持っているところを目撃してしまいます。しかも父親は妻が不貞を働いていることを知っており、それでも愛ゆえに彼女の奔放な振る舞いを許していました。
成長した瀬島が遠方の旅館を奉公先に選んだのは、そんな両親と距離を置くためです。そこで丁稚として働いていた彼のもとへ、ある日父親が大きなケガを負ってしまったという知らせが舞い込んできたのでした。
声なきものの唄 103話 ネタバレ
1858年という激動真っ只中の時代、摂津地方に生まれた瀬島は、華奢な体つきをした、丈夫とは言えない子どもでした。
父はたくましい体躯の善助、母はあだっぽい美貌の持ち主であるキサで、瀬島の整った顔立ちは母親譲りです。
働き者の善助は面倒見も良く、幼い瀬島が熱を出した時は仕事の合間にウリを買い、ふせっている息子に手ずから食べさせるなど、一家の大黒柱でありながら甲斐甲斐しく我が子の世話を焼いていました。対してキサは奔放な性格をしており、手伝いと称してあちらこちらの飲み屋に出入りしてはそこで一晩中飲み明かすということを繰り返していたため、育児も家事もほとんど夫に任せきりだったようです。
しかもキサは常習的に善助以外の男性と肉体関係を結んでいました。その上彼女は自らの不貞行為を隠す気がないらしく、夫からそれを指摘されても悪びれるどころか、「やっぱりうちゃ、あんたが一番」などと睦言を吐き、善助はそんなキサを
「ええんや、ええんや、わしんとこへ戻ってくれりゃあ」
と言って許していたのです。
そんなふうに歪でありながらも両親の仲は良く、彼らのもとですくすくと成長した瀬島は、明治時代が始まった1868年に10歳の誕生日を迎えます。キサにますます似てきた彼は、その美しい面立ちに加えて、同じ年頃の女の子たちに対しててらいなく気遣うことができるおかげで、同世代の少年たちからは少々やっかまれる存在となっていました。
その結果、瀬島はある日大吉という名の少年から
「善二なんざアバズレの子やねぇかっ」
と罵られ、さらに
「そやけん善二も女好きなんやっ」
などとからかわれてしまいます。しかも瀬島が
「お母は飲み屋の手伝いしとるだけや」
と反論すると、
「そんならショーコ見せちゃる」
と言ってとある飲み屋へ連れて行かれ、今まさにキサが善助ではない男性に抱かれているところを見せられてしまったのです。
ショックを受けた瀬島は、その2年後、有馬温泉の「庄野屋」という旅館へと奉公に出ることにしました。
笑いながら
「お父には告げ口せんでねぇ」
と口止めしてきたキサや、そんな妻の振る舞いを咎めるどころか受け入れている善助と共に暮らす生活に気まずさを覚えていたためです。
庄野屋で瀬島は丁稚として掃除などの雑用を日々淡々とこなしていました。しかしそんな彼のもとへ、ある日悪い知らせが届きます。その知らせとはなんと、港で船から荷を下ろす仕事をしている父親が、作業中に足をすべらせて転落し、大ケガを負ってしまったというものでした。
声なきものの唄 103話 感想・考察
103話では、なんと瀬島の少年時代が描かれました。彼が女衒という人の恨みを買いやすそうな仕事を選んだのは、母の振る舞いやそれを許していた父に対する複雑な思いが関係しているのでしょうか。
女性の心をつかむのが上手いのは幼い頃からだったようですが、奉公先で真っ当に働いていた瀬島がいかにして女商売の界隈に足を踏み入れたのか気になるところです。
また、母親似の儚げ美少年だった瀬島が渋いイケオジになるまでの過程も次話以降で見ることができるのか、期待が高まります。
安武わたる先生、いつも素敵なお話をありがとうございます。
次回ネタバレはこちら
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コメント
いつもありがとうございますm(_ _)m 近所に書店が無いので通販で購入しておりますが 単行本は1巻しか出てなくて 電子化を待ってます。その前にチロっと伺えるのがとても楽しみです。