『声なきものの唄』巴太夫(明子)徹底考察|東陽楼の看板花魁が掴んだ第二の人生

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東陽楼の看板花魁・巴太夫。売られた農場の娘がお職の頂へ、そして引退後は料亭の女将・明子へ——廓の外に自由を掴んだ彼女の生き方を読み解きますね。

※この記事には『声なきものの唄〜瀬戸内の女郎小屋〜』の重大なネタバレが含まれます。原作未読の方はご注意ください。


声なきものの唄〜瀬戸内の女郎小屋〜 1巻 表紙

©安武わたる/ぶんか社

『声なきものの唄〜瀬戸内の女郎小屋〜』(安武わたる/ぶんか社)で、主人公チヌの先輩女郎として強い存在感を放つのが、東陽楼の看板花魁・巴(巴太夫)です。本記事では、農場の娘からお職へ上り詰めた歩み、美しい引き際、そして明子としての第二の人生までを考察します。

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巴太夫とはどんなキャラクター? ——東陽楼の看板花魁

巴(巴太夫)は、チヌが身を置く妓楼・東陽楼の看板花魁として君臨した先輩女郎です。「稀代のお職」と称されるほどの格と美貌を誇り、廓の中で確固たる地位を築いた、チヌにとって憧れであり目標でもある存在でした。

巴(のちの明子) — 東陽楼の看板花魁『巴太夫』→ 引退後は徳次の妻・明子

元は農場の娘だったが、家の経営が傾き身売りされ、やがて東陽楼の頂点『お職』へ上り詰めた女性。気高い矜持と人を惹きつける華を持つ。引退後は徳次と結ばれて『明子』と名を改め、女郎時代のツテを活かして料亭を営むという、廓の外での第二の人生を切り拓く。

農場の娘から、お職の頂へ

巴はもともと農場の娘でしたが、家の経営が傾いたことで身売りを余儀なくされ、遊郭の世界へと足を踏み入れました。過酷な境遇の中でも持ち前の華と気概で頭角を現し、ついには東陽楼の頂点である『お職』——看板花魁・巴太夫へと上り詰めます。売られてきた身でありながら、自らの力で廓の頂点を掴んだその姿は、後にチヌが歩む道を先取りするかのようです。

最後にして最高の花道——81話の名場面

81話、「稀代のお職 巴太夫」の最後にして最高の花道が描かれます。花魁としての矜持を最後まで貫いた巴の引き際は、本作屈指の美しい名場面として読者の記憶に刻まれています。そして82話、巴は徳次の妻となり、名を明子と改めて岡山へ帰郷。廓の世界に別れを告げます。

うちがどないにしわくちゃのバアさんになっても、あんたは、一等キレエな頃のうちだけ覚えとってくれんのやろ?

— 明子(109話・趣意)

明子としての第二の人生——料亭の女将へ

廓を出た明子の物語は、そこで終わりませんでした。108話では、明子が女郎だった頃のツテを頼って料亭を始める姿が描かれます。かつて売られた身が、今度は自らの店を構える女将として立つ——巴/明子の歩みは、廓に生きた女性が掴んだ自由と自立の象徴であり、チヌの『楼主への道』と響き合う、もう一つの希望の物語なのです。

『お職』とは何か——花魁の頂点が持つ意味

巴を語るうえで欠かせないのが、彼女が上り詰めた『お職』という地位です。お職とは、その妓楼で最も格の高い売れっ妓(こ)=筆頭の花魁を指す言葉。見た目の美しさだけでなく、教養・芸事・客あしらい・後輩の統率まで備えた者だけが立てる、廓の頂点です。

売られてきた身でありながらお職へ上り詰めるということは、過酷な環境の中で自らの価値を最大限に高め、限られた選択肢の中で『生き抜く力』を示したことを意味します。巴の気高い矜持は、ただの自尊心ではなく、そうやって勝ち取った地位の重みそのものなのです。そしてこの『頂点を経験した強さ』が、引退後に明子として新しい人生を切り拓く土台にもなっていきます。

巴(明子)というキャラクターの魅力

  • 頂点を掴む気概:売られた身から東陽楼のお職へ上り詰めた実力と矜持。
  • 美しい引き際:81話、花魁としての最後の花道に込められた誇り。
  • 廓の外での再生:徳次との結婚、明子としての新しい人生。
  • 自立する女性像:料亭の女将として自らの足で立つ生き方。
  • チヌの先達:チヌが歩む『女郎からの飛躍』を先に体現した存在。

巴/明子が物語にもたらすもの——考察

巴/明子の存在は、『声なきものの唄』が描く女性たちの中で、『廓の外にも人生はある』という希望を体現しています。サヨリが時代に飲み込まれた影だとすれば、巴/明子はチヌと並んで自らの意志で運命を切り拓いた光。彼女の第二の人生があるからこそ、廓に生きる女たちの物語は、悲劇一色ではない、多彩な奥行きを持つのです。

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よくある質問(FAQ)

Q. 巴と明子は同じ人物ですか?
A. はい。東陽楼の花魁『巴太夫』が、引退して徳次と結婚した後に名乗る名前が『明子』です。

Q. 巴はどんな出自ですか?
A. もとは農場の娘で、家の経営が傾いたことで身売りされ、東陽楼のお職へ上り詰めました。

Q. 引退後の巴はどうなりますか?
A. 徳次の妻・明子として岡山へ帰郷し、のちに女郎時代のツテを活かして料亭を営みます。

Q. チヌとの関係は?
A. チヌの先輩女郎で、彼女が憧れ目標とする存在です。

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売られた身から頂点へ、そして廓の外で自分の店を持つ女将へ。巴/明子の生き方は、チヌの物語と響き合う、もう一つの希望です。ぜひ併せて読んでみてくださいね。

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