今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」117話を読んだので紹介します。

この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 117話 あらすじ
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チヌは「申告制」という代替案を用意して藤冨のおトウさんを説得し、妓たちを苦しめる「紋日」の廃止に踏み切ります。さらにチヌは「持ち込み行商」という、やはり妓たちの借金を増やすシステムをなくそうと動き出しました。
しかし、行商人との話し合いはなんとかうまくいったものの、矢津遊廓の楼主連からチヌが呼び出されるという事態になってしまったのでした。
声なきものの唄 117話 ネタバレ
東陽楼の改革を進める新楼主・チヌの勢いはまだまだ止まりません。娼妓たちの将来のために導入した「れっすん」に続いて、チヌは「紋日」と呼ばれているシステムを廃止することを決めます。
「紋日」とは人日や上巳、端午といった節句や祭礼などが行われる特別な日のことで、遊廓には「紋日」は揚代が2倍になるという慣わしがありました。
「紋日」は客にとっては己の財力を誇示することができるイベントであり、娼妓にとってもそんな上客から指名されることを誇る日だとされています。しかし当然ながら「紋日」はいつもより客足が遠のくため、妓たちにとってはかなり負担の大きいイベントでもありました。
なぜなら「紋日」に客がつかなかった娼妓は、罰金としてその倍額となった揚代を自身で支払わねばならなかったからです。
このような望まぬ借金がどんどん上乗せされていってしまう慣習を撤廃したいと考えたチヌは、花代が2倍につくのは自らそう希望した者のみという「申告制」を採用することにしました。
名乗りを上げた妓女たちは「玉女」と呼ばれ、目印として胸に花飾りをつけて店先に並びますが、たとえお茶を挽いてもこれまでのように罰金が科されることはありません。
東陽楼の面々はこの新しいやり方を受け入れ、負担を減らしてくれた新楼主に感謝しました。
また、チヌから相談を受けた当初は、「紋日」を廃止すれば見世の格が下がってしまうと難色を示していた藤冨のおトウさんたちも、「玉女」を指名できることが客にとって新たなステータスとなるチヌの案を聞き、若干の戸惑いを残しながらも「紋日廃止」と「申告制」を容認します。
しかし、次は「持ち込み行商」に着手するつもりだというチヌの言葉には、さしもの藤冨のおトウさんも動揺を隠せず、思わず飲んでいたお茶を噴き出してしまいました。
娼妓たちは、矢津遊廓の外へ自由に出かけて買い物をすることを許されていません。
にもかかわらず、見世側が娼妓たちに用意してくれるのは、必要最低限のものだけです。そのため、娼妓たちが日々の暮らしに入り用な細々とした品を手に入れたい時は、その名の通り外から品物を持ち込んで娼妓相手に売る「持ち込み行商」を頼るしかないのですが、行商人と見世側とで儲けを折半するために、その代金は相場よりも高く設定されていました。
つまり「持ち込み行商」という仕組みもまた、娼妓たちが借金を重ねざるを得ない要因の一つだったのです。
ゆえにチヌは、見世側は利益を一切取らないかわりに品物の値段を下げるよう出入りの行商人たちに要求し、半ば強引ながらもすべての行商人と話をつけることに成功しました。
ところがその直後、なんと他の見世の楼主連から「呼び出し」を受けてしまったのでした。
声なきものの唄 117話 感想・考察
117話の見どころは、娼妓たちが背負う借金を軽減するために長く続けられてきた慣習を廃し、自分なりに考えた方法で「妓たちの味方の主」になろうと改革を推し進める、勇気あるチヌの姿です。チヌの性格を考えれば、彼女より年上の男性ばかりと思われる行商人たちを相手に無理を通すような交渉は、かなり緊張したに違いありません。

しかしチヌは堂々たる態度で、見事提示した条件を呑ませていました。頼りがいのあるチヌの勇姿を、ぜひご覧いただきたいと思います。
安武わたる先生、いつも素敵なお話をありがとうございます。
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