今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」114話を読んだので紹介します。

この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 114話 あらすじ
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チヌはまず公三郎になんの相談もしなかったことを詫び、それから、辛い境遇に置かれている女郎たちを守る防波堤になりたいという固い意志と、そのためなら離縁も辞さない覚悟であったことを彼に伝えました。
すると公三郎は新婚の頃に約束した通り、チヌの望みはすべて叶えると言って、彼女が東陽楼を継ぐことに賛同してくれたのでした。
声なきものの唄 114話 ネタバレ
若水家の当主奥方が東陽楼の新たな楼主に名乗りを挙げたと報じる新聞記事を見て、その真偽を確かめにやって来た大多和とお清に続き、公三郎も予想より早く帰宅して
「「新楼主」とはなんのことだい?」
とチヌに向かって問いかけてきました。
それに対してチヌはすぐさま
「申しわけありません若様っ、事前になんの相談もせず勝手にっ」
と頭を下げ、記事の内容は真実だと認めます。
するとお清がいつになく取り乱した様子で
「こげんとんでもねえこと許せますかっっ」
と叫び、チヌはその剣幕に思わず身を竦めました。
お清はさらに
「チヌ様っ、若水家の奥方の身の上でなぜこんな・・・っ」
とチヌに詰め寄ろうとしましたが、公三郎はそれを制し、大多和と共にしばらく席を外すよう命じます。
そうして夫婦2人だけの話し合いが始まったのですが、公三郎はいつもと変わらぬ穏やかな調子で、出張先で買ってきたという和菓子をチヌにすすめてきたのです。
そんな公三郎に向かってチヌは、その場のイキオイで東陽楼の主を引き受けてしまったが、若水家に迷惑をかけたくないから離縁してほしい・・・と告げようとしていたことを打ち明けました。
しかしそれは「威し」であると気付いたと言うチヌに対し、公三郎は
「チヌ・・・たしかにそれは、ずるいね」
と微笑みながら返します。
どこか凄みのあるその笑みにヒヤッとしながらも、チヌは公三郎の言葉に頷きました。そして
「そやしそれくれえの覚悟やった・・・と思し召しくだせぇ」
と答えた後、ただでさえ辛い思いばかりしなければならない女郎にとって、雇い主が味方ではないということが何よりも辛いこと、もう誰にもサヨリのような最期を迎えさせたくないと考えていることを静かに耳を傾けてくれる夫へと伝えたのでした。
その頃別室で2人の話が終わるのを待っていた大多和とお清は、いくら
「若水家には山ほど醜聞がある」
といっても、さすがに今回の件は公三郎も反対するだろうと話し合っていました。
ところが彼らの予想に反して、公三郎は
「君の望みはすべて叶えたい、それが僕の望みだ」
と言って、チヌの決意を迷いなく受け入れたのです。
さしもの大多和とお清も公三郎の決定には異を唱えることができないようで、納得はしていない様子ながらも、2人ともひとまず若水邸を辞去することになりました。
しかし、去り際にチヌに向かってお清が残した
「新之介様が、どのような世間の悪意にさらされるとお思いですか・・・・・・・・・・・・?」
という問いかけは、チヌの心に重く響いたのでした。
声なきものの唄 114話 感想・考察

ただ、お清さんが指摘した通り、親の職業を理由に子どもに悪意を向ける人間がいる可能性は否定できないので、新之介のことが少々心配です。
安武わたる先生、いつも素敵なお話をありがとうございます。
次回ネタバレはこちら
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