今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」113話を読んだので紹介します。

この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 113話 あらすじ
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すると横上は往生際悪く東陽楼の経営方針を侮辱し始めたため、チヌは彼をクビにして、自分が新楼主となることを宣言します。
しかしその宣言は、公三郎に一言の相談もなく、勢いで口にしてしまったものだったのです。
声なきものの唄 113話 ネタバレ
栄太によって縛り上げられ、彼の妻や冴路らと共に布団部屋へと閉じ込められていたはずの横上が現れて、ならず者の妓たちを捕まえろと喚き立てたせいで騒然となったところへやって来たのは、チヌに付き添われた藤富のおトウさんです。
彼が巡査長に頭を下げ、これは「ストライキ」ではなく「祭り」だと断言した上に、横上の妻であるキクが横上と冴路の不適切な関係を皆の前で暴露したおかげで、妓たちが逮捕されてしまうような事態は回避することができました。
しかし、そのせいで観衆たちから蔑むような冷たい眼差しを浴びることになった横上は、従来の東陽楼のあり方をまるで自棄になったかのように大声で否定し始めます。
そんな愚行を止めたのはなんとチヌで、彼女は「藤富の義娘」として横上にきっぱりとクビを言い渡しました。しかも、いよいよ追い詰められた横上が自分を解雇したら誰が見世を継ぐのかと喚くと、
「この若水チヌが、東陽楼を引き受けます」
と堂々たる態度で言い切ったのです。
美蝶をはじめとした妓たちはもちろんのこと、藤富のおトウさんやおカアさんも、チヌの決意を非常に喜んで受け入れました。
また、馴染みの客らの反応も悪くなく、皆が新楼主の誕生を祝ってくれたのですが、なんとこの宣言は、彼女の夫である公三郎には一言の断りもなく、思わず口走ったことでした。
大切な人たちと出会えた場所である東陽楼を守りたいというチヌの気持ちに嘘はありません。
しかし、タイミング悪く公三郎が出張中だったため、彼になんの相談もできぬまま重大な決断を下してしまったことに加えて、これからは毎日まだ幼く甘えんぼうな一人息子を使用人に預けて東陽楼へ通う必要があることに気付いたチヌは、一抹の不安を覚えます。
しかも、見世の前で繰り広げられた騒ぎを見物していた客の1人に記者がいたようで、その翌々日には、チヌが東陽楼の新たな楼主として名乗りを挙げたという記事が新聞に掲載されてしまったのです。
この時点でチヌはまだ、公三郎を含む若水家の人々へ自分の口から事情を説明していませんでした。ですから、この記事を目にして初めてチヌの現状を知った大多和が、血相を変えて若水邸へと駆け込んできたのも当然のことだと言えるでしょう。
またチヌは、楼主として采配を振るべく東陽楼へ向かう際、使用人らに対して
「藤富のおトウさんとこへ顔出さんといけんくて」
と誤魔化すようなことを言っていました。
そのためお清も大多和と同様新聞を読んでたいそう驚いたらしく、いつになく取り乱した様子で
「なんですのこの記事!」
とチヌに詰め寄ったかと思えば、真っ青な顔で
「間違いですわよね!?」
と縋るように問いかけてきたのでした。
声なきものの唄 113話 感想・考察
113話では、なんとチヌが東陽楼の新たな楼主になるという驚きの展開を迎えました。それに対して東陽楼の面々は皆喜んでいましたが、大多和さんやお清さんのリアクションは否定的なものでしたし、公三郎にも事前に相談していないということで、若水家でのチヌの立場や世間的な評価が今後どうなるのか少々心配です。

お母さんに甘えたい盛りの新之介との親子関係や、東陽楼の経営が順調にいくかどうかについても不安がありますし、まだまだ波乱がありそうなストーリーから目が離せません。
安武わたる先生、いつも素敵なお話をありがとうございます。
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