今回は安武わたる先生の「声なきものの唄~瀬戸内の女郎小屋~」112話を読んだので紹介します。

この記事は高確率でネタバレを含みます。
物語の結末を知りたくない方はご注意くださいませ。
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声なきものの唄 112話 あらすじ
前話ネタバレはこちら
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声なきものの唄 112話 ネタバレ
冴路と横上に拘束されたことで、11歳の頃に「味つ屋」の主人から受けた仕打ちを思い出してしまった美蝶は、不覚にも気を失ってしまいました。
そんな美蝶に向かって横上は、つまらそうに舌打ちしながら
「おとなしゅうなったらなったで、面白味がねえわな」
などと言い放ちます。
しかしだからと言って手ごめにするのをやめる気はないようで、美蝶の着物の前を大きく広げると、美しい彼女の裸身をいやらしく眺め回しました。
それでも美蝶の意識は戻らず、あわやというところで現れたのは、なんと栄太です。
先ほど偶然出くわした際に美蝶が落としていった香袋を届けようと東陽楼までやって来た栄太は、記憶をたよりにたどり着いた美蝶の部屋で繰り広げられていたおぞましい光景を目の当たりにするや、驚き慌てている横上をすぐさま殴り飛ばしました。
それから栄太は未だ目覚めぬ美蝶に駆け寄り、猿ぐつわを外してやりながら、大きな声で彼女の名前を呼びました。おかげで美蝶は無事意識を取り戻し、次いで先ほど我が身を襲った出来事を思い出します。
その結果、瞬時に怒りを燃え上がらせた美蝶は、勢い良く起き上がるなり憎々しげに横上を睨みつけ、
「仕置きやゆうて見世の妓を手ごめにしたがるような輩、もう楼主とは認めん!」
と啖呵を切りました。
そうして騒ぎに気付いて集まってきた女郎たちの前で、ストライキをすることを声高に宣言したのです。
横上による強引な経営方針の変更に関しては、女郎たちはもちろんのこと、男衆や女中らもかなりの不満をため込んでいました。
そのため、東陽楼で働く人々の多くは美蝶の言葉に賛同してくれたのですが、当然ながら中には警察に捕まってしまうのではないかと及び腰になってしまう者もいました。
そのため美蝶は知恵を働かせ、須玉神社の神を奉り、見物客らにはお酒や食事を気前良くふるまい、着飾って派手に舞い踊りながら横上の横暴を訴えることにします。
そうすれば警察に咎められても、自分たちが行っているのは厄落とし・験直しのための「悪口祭り」であり、ストライキなどではないと言い張ることができると考えたのです。
そんな美蝶の計画に協力してくれたのは、東陽楼の面々だけではありません。
美蝶の旦那である八十や加来、後藤田など馴染みの客が大勢応援に駆けつけてくれましたし、東陽楼の娼妓たちが騒動を起こしているという知らせが警察署へ届いた際、偶然署内にいた久米親分もさりげなく力を貸してくれました。
また明子も、お酒や食事を持参しただけでなく、「お職」だった頃の手練手管まで遺憾なく発揮して、美蝶たちをおおいに助けてくれたのでした。
声なきものの唄 112話 感想・考察
112話では、東陽楼の妓たちが一致団結してストライキを起こします。横上から襲われかけたにもかかわらず、心折れることなくその音頭を取った美蝶のたくましさや頭の回転の速さには、思わず惚れ惚れしてしまいました。

美蝶の立ち直りがとても早かったために栄太の活躍シーンはあっさりめでしたが、これまで少々影が薄かった千代春の見せ場もありますし、明子や後藤田たちが力を貸すために駆けつけてくれたシーンも感動的で、見どころ満載の回でした。安武わたる先生、いつも素敵なお話をありがとうございます。

次回ネタバレはこちら
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